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October 10, 2006

世界唯一であるが故に(その1)

世界で唯一のばんえい競馬。ただ,世界唯一であるが故に「他に頼るべきものが無い」という弱点があると思うんですよね。
「競馬場の競馬が無くなっても,草ばんばがあるから問題ない」という方もいらっしゃるでしょうが,個人的には否定的な見解です。北海道市営競馬組合営ばんえい競馬(以下「ばんえい競馬」)が無くなってしまったら,周辺の産業がまず潰れるでしょう。
例えば。ばんえい競馬情報局で古林先生が紹介されていましたが,競走で使うガラを作れる職人さんは日本でも数少なくなり,高齢化が進んでおります。この状況で「ばんえい競馬」が潰れたらこれら職人さんの仕事が減り,「この仕事で食っていけなく」なれば,技術そのものが断絶してしまうわけで。他にも廃れつつある(orもう断絶してしまった)技術はたくさんあるだろうし,これらが無くなってしまったら,草ばんばの開催も成り立たなくなってしまいます。これらの技術は外国から輸入することもできないとしたら,「世界で唯一」北海道で使われているものである以上,北海道で伝承を続けていかなければならないわけです。
それに,重種馬の馴致や調教の技術だって「ばんえい競馬」があるからこそノウハウが蓄積されているわけで。これらのノウハウが無くなったら,草ばんばのレースでも重い荷物を曳ける馬が少なくなり,競走の魅力が相対的に低下してしまう。
一旦断絶してしまった「技術」を復活させることは極めて困難な事であり,決して絶やすことは出来ない。世界で唯一であるからこそ,一旦廃れかけてしまったものを立て直すのは独力で達成させなければならない,現在の「ばんえい競馬」を我々の手で守っていかなければいかないと思うわけです。
もちろん「人」だけでなく「馬」だって世界唯一。確かに重種馬の生産は世界のあちこちで行われていますが,ペルシュロン種は母国フランスでも数が減り,種の保存の役割の一端を日本が担っているとのこと(伝聞ですいません)。ブルトン種についても,フランスではショー用等で見栄え良い脚の長い馬が好まれ,重い荷物を曳くのには必ずしも適さないという記事をホースメイト誌で読んだ記憶があります(これまた不確実な情報ですいません)。つまり,日本輓血種というのは「重い荷物を運ぶため」に品種改良をされている世界的にも数少ない品種であり,その繁殖馬選定の場である「ばんえい競馬」についても,世界的に貴重な場だと思うんです。

「ばんえい競馬」というのは確かに「公営ギャンブル」だという前提は否定するつもりはありませんし,その主催者である4市の財政事情が赤字を許さないというのであれば,廃止もやむを得ないかもしれません。ただ「ばんえい競馬の存廃問題」というのは馬券の売り上げとその損得勘定「のみ」で語られて欲しくないと思います。競馬場の競馬や生産者,周辺産業で消えかかっている技術,草ばんばまでも含めた「文化」の存廃問題なんですから。
「北海道の馬文化」は北海道遺産として登録されているけど,実は北海道どころではない「世界で唯一」の文化遺産じゃないかしら,と,わたしは考えています。そして,その灯は絶対に絶やしてはならないと。

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