ニュース転載(十勝毎日新聞)
存続の負担 最低10億円全廃でも補償は巨額 7日に最終答申 市内部で論議本格化
来年度以降のばんえい競馬の在り方を探る道市営競馬組合(帯広、旭川、北見、岩見沢4市で構成)の改革検討プロジェクトチームの最終答申が7日に正式報告されるのを前に、帯広市で市議会も含めた存廃議論が本格化している。検討される2市集約案で軸となる帯広の対応は、ばん馬存続のカギとなるが、最低でも10億円が見込まれる巨額の市負担が伴う決断だけに、市内部、市議会とも存続、廃止のさまざまな意見に揺れている。(小林祐己)存廃論議がいよいよ大詰めを迎えた道遺産「ばんえい競馬」。帯広での存続を望む声は強く、砂川敏文市長の決断が注目されている(2006年4月)
大きな責任
「これまで組合側の見通しは甘かった。今回の再建案に本当に将来性はあるのか」。検討チームがまとめた2市集約の再建案で、開催地組み合わせ3パターンのいずれにも含まれた帯広市。ある市議は、帯広での存続に期待を寄せつつも、2市再建後の責任・負担の大きさに不安を語る。
存続判断のカギとなるのは、現在160億円規模の歳出を110億円台に削った経費節減案。報償費を大幅削減、新組織の規模を現在の半分にするなど「血を流した」(関係者)内容とされる。
しかし、かつて「背水の陣」で策定したはずの「再建5カ年計画」が初年度の2005年度に破綻(はたん)しており、再建後の運営を懸念する関係者は多い。規模の縮小が魅力減少につながることを心配する声もある。
一方、経費削減には「1市開催がベスト」という意見もあるが、「責任が大きすぎる。1市で現在の7億-8億円の赤字が出れば即廃止。今までは4市だからこそ持ちこたえてきた」と市関係者は語る。状況は2市でも同様で、継続後の収支計画の実効性は4市長の決断の大きな要素となる。不透明な財源
さらに市関係者を悩ませるのが、巨額の財政負担。チーム案での現組合解散には、これまでの累積赤字約31億円(05年度末)に、今年度赤字などを合わせた推計約40億円の清算が伴い、1市負担は約10億円に上る。
さらに同案には、新組織の設立経費として、1市5000万円の拠出が盛り込まれたとみられる。また仮にばん馬全廃となると、関係者への補償金など経費はさらに膨らみ、ある市議は「全廃の経費は80億-100億円とも聞いている。継続も、やめるも大変なことだ」と頭をかかえる。
財政負担の方策は現在市内部で協議中だが、市議会では「財源がはっきりしない。財政が厳しい中、どこにそんな金があるのか」と困惑の声も出る。市は3日に全員協議会で状況を市議会に説明する場を持つが、市は「まだ方向性を示せる段階にはない」としている。
「馬産地として存続を」「将来は厳しい。今清算を」-。両面の意見が入り交じる存廃論議。ある市幹部は「4市の最終判断は20日ぎりぎりになる」とみる。ある野党市議は「いずれにしろ税金。市民への説明責任をまず果たすべき」と語る。限られた時間の中で、市民、市議会、関係者の意向を交えた慎重な決断が市に求められている。<検討チーム再建案>9月22日に帯広市での会議でまとめた。来年度以降の開催地を2市に集約、「帯広・北見」「帯広・旭川」「帯広・岩見沢」の3パターンを示した。現組合は解散して負債は4市で清算、開催2市で新組織を立ち上げ、報償費などの大幅な歳出減で収支均衡の運営を目指す。7日に4市長の正副管理者会議(北見市)に正式答申され、4市長は20日までに存廃の最終結論を出す予定。
ばんえい競馬 存廃 20日に最終判断
【北見】ばんえい競馬を運営する道市営競馬組合(旭川、帯広、北見、岩見沢の4市。管理者・菅原功一旭川市長)の正副管理者会議が、7日午後6時半から北見市内のホテルで開かれ、「改革検討プロジェクトチーム」から来年度以降の存続に向けて、現組合を解散・清算し、開催地を帯広を含む2市に集約する検討結果が正式に答申された。4市長は13日に再度集まって対応を協議し、20日に最終判断をまとめる方向で合意した。プロジェクトチーム答申の主な内容
(1)2市集約(冬季開催できる帯広と他1市)で通年開催
(2)報償費40%減など主要経費を大幅に圧縮
(3)現行の組合は解散。累積赤字などは4市で清算
(4)施設使用料減額(帯広競馬場は5000万円)で収支均衡が可能
会議には砂川敏文帯広市長ら4市長と各市の事務局、組合事務局、生産者団体、調騎会、馬主協会の各代表など約20人が出席した。答申では「帯広・北見」「帯広・岩見沢」「帯広・旭川」の3パターンの2場集約案を提示。現組合は解散し職員数20人(現行39人)の新競馬組合を立ち上げる。2007年度開催案では、職員費を64%、報償費を40%削減(対05年度決算)するなど大幅な経費削減を図り、競馬場などの使用料減額で収支均衡が可能と示した。
このほか新組合発足時の運営資金として、4市から計2億円の貸し付けを求めている。
終了後、4市長会議で構成市間の協議もスタート。「ポイントとなる調騎会の意向など、いろいろと確認すべきことがある」「各市持ち帰って検討した上で結論を」などの意見が出された。
記者会見した菅原市長は「(答申は)真剣に協議をした内容。経費をかなり削減したもので評価している。4市ともやれるものならやりたいが、報告を精査しなければ判断はつかない」とし、13日に旭川市内で再度4市長会議を開き、20日に結果を公表する考えを示した。
砂川市長は「できれば残したいのは4市とも同じ。(判断のカギは)各団体がこの案でまとまってできるのかということ。答申案は1つの案として他の可能性も排除せず検討したい」と述べた。
組合の庄野和洋事務局長は「4市長からは実効性を問われた。(答申の経費削減案は)常識外れの数字だが、ぎりぎりやっていける内容。ばんえいの灯を消したくない関係者の熱い思いの表れ」と話している。(小林祐己)
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