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December 07, 2006

日本輓系種

ばんえい競馬の競馬場で走っている馬は(主に)ペルシュロン,ブルトン,ベルジアン種等と,その交雑種であることは,このblogを読んでいる方にとっては周知の通りだと思います。交雑種について,昔は「重半」とか「半血」などと呼ばれておりましたが,現在では「日本輓系種」と呼称され,一つの「品種」として確立されております。
この日本輓系種の種雄馬の多くは実際に競馬場で競走馬として活躍した馬です。「より重い荷物を曳く能力を持つ馬」を選別して交雑を繰り返してきた,そう,「より速く走るための能力を持つ馬」を目指して交雑を繰り返してきた皆さんおなじみのサラブレッドと同じなんですよね。
そして,サラブレッドは世界中で生産もレースも行われていますが,日本輓系種は生産も繁殖馬の選別も,世界で唯一である「ばんえい競馬」というシステムの中で行われているわけで……。ばんえい競馬の廃止というのは日本輓系種という品種の断絶に繋がるということを知っていただきたいな,と。
もちろん重種馬自体は,前述3種を始めクライスデールやシャイヤー種といった品種が存在し,世界のあちこちで生産されているわけですが,彼らの主な仕事は馬車を曳くことだったりショーホースだったりで,必ずしも「(ソリや丸太のような)重量物を曳くこと」に適しているとは限らない。日本輓系種というのは「重量物を曳くことに特化して品種改良された『世界で一番力持ち』の馬である」と,わたしは思っています。

ところで,その世界で一番の力持ちたちですが,現在はその働き場所はばんえい競馬だけになっちゃいましたが……果たして,将来もそうなんでしょうか?
個人的には「No」だと声を大にして言いたいです。
例えば,今は斜陽化している日本の林業ですが,森林環境の保全やその他の観点からも復活は大いにありうる話で,その際には車では入れない急斜面や木々の間でも活動でき,山を傷めずに仕事が出来るる馬が貴重な労働力として注目されるかもしれない。トラクター等の普及でその活動の場を追われた田畑でだって,原油価格の高騰や有機農法の広がり(馬はたい肥も作ってくれます)から,復権だってあり得ない話ではありません。

もちろん,これが日本の中なら「夢語ってるんじゃねえよ」という話かもしれませんが,石油資源も肥料も入手しづらい途上国での話なら,ちょっと現実味も増しませんか?
北海道の開拓に尽力したばん馬たちの子孫が,今度は世界中で開拓のために尽力する……。個人的にはそんな夢物語があっていいんじゃないかと思うし,そのためにも日本輓系種とその品種改良のための場であるばんえい競馬は必要不可欠だと思っております。

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