家畜改良データバンクにデータの追加が
先日,エンジュオウカンの血統解説を書くために家畜改良データバンクを検索している際に,以前にはなかったはずの過去馬のデータが登録されているのを見つけました。
エンジュオウカンの6代母にあたるとされる初姫のデータ。
生年月日と繁殖登録日に平成21年5月1日とセットされてますが,これはデータ登録日でしょうか? (今年繁殖登録される馬も随時登録されるというデータベースの性質を考えると,あまり好ましくない気がしますが,それはさておき)過去馬のデータが続々とデータベースに登録されているというのは,非常にありがたいことですし,品種ごとの血量割合や近交計数等の,「仕組みとしては備わっているものの数値として不正確な状態」にあった機能が活きてくるという事で,データベースとしての価値もより一層高まるのではないかと期待しております。
今,ばん馬の生産界は非常に厳しい状況下に置かれているわけで,馬生産者をサポートするという意味でも,このデータベースがよりよい馬を作るための補助ツールとなってくれればいいなーと思います。あとは個人的な願望ですが,この家畜改良データバンク,初期構築段階のデータは古い年代の馬データに複数の同名異馬が1つの馬データとして扱われている等,多少の問題があるデータが存在しているのも事実です。(例えばこの馬データとか)こちらも修正していただけるとありがたいな,と。
さて,先に挙げたエンジュオウカンの6代母初姫ですが。父の名前を見ると「威烈」となっています。威烈といえば,昭和12年から30年にかけて十勝地方で供用されていた大種雄馬なのですが,その名からも分かるように,2代父はイレネーなのです。この家畜改良データバンクのデータに間違いがなければ,エンジュオウカンにはあの偉大なイレネー号の血が流れているということになりますし,「北海道の開拓に尽力した馬たちの子孫,イレネーの子孫たちが競馬場で走っている」という言葉が家畜改良データバンクを通じて証明できたという事にもなります。これって結構すごいことなんじゃないかと思います。
ただ,昭和の大種雄馬である威烈なんですが,血統表記上は純血ペルシュロンじゃなくて「ペルシュロン系」のはずなんですよね……。このデータを作った際のミスなのか,同名の別な馬なのか……。ばん馬の血統は調べていくと本当に謎だらけです。
「血統マニア」カテゴリの記事
- ベルジアン種の血統をもっと深く知れるかも(2023.01.19)
- 2020年生まれのばん馬の血統を概観してみる(2023.01.01)
- 2019年生まれのばん馬の血統を概観してみる(2022.01.19)
- 【血統解説】ヤマトタイコー(2021.09.28)
- ばん馬の成長曲線を考える(第3回)(2021.09.18)
Comments