現代に続くイレネー号の血脈
先日,十勝毎日新聞の紙面にイレネー号が導入百年を迎えるという記事が出まして,ばんえい十勝劇場さんにも掲載されておりました(不肖わたしのコメントもちょこっと載っています)。
http://www.tokachi.co.jp/banei/2010/3/entry_626.php
記事内で「イレネーの子孫が2頭いる」となっておりますが……。これ,わたしの伝え方が悪かったようでして,ごめんなさいごめんなさい。イレネー記念に出走した馬でイレネーの子孫にあたるのは「現時点で判明しているので」7頭です。内訳は
イレネーの血が入っているのが確認できる馬(7頭)
ホクショウバトル,ミスタートカチ,フェイ,テンマデトドケ,アウルメンバー,ツジノコウフクヒメ,レットダイヤ
イレネーの血が入っているかどうか分からない馬(2頭)
ミタコトナイ,トレジャーハンター
イレネーの血が入っていないことが明らか馬(0頭)
ところで。誰でもばん馬の血統を調べることができる仕組みとして,日本馬事協会さんが提供している家畜改良データバンクという非常に便利なサイトがありますが。今のところは残念ながら偉大なるイレネー号までは遡ることができません。ただ,イレネーの孫でこちらも大種牡馬として多くの産駒を残したと伝えられる種雄馬の威烈は既にデータ化されています。なので,このデータの父母(父:第二十八イレネー,母:第七ユール)を書き替えて,第二十八イレネー(父:イレネー,母:第一アントリーグ)とイレネー(父:ダミアン,母:デースー)のデータを新規作成すれば,めでたく家畜改良データバンクを通じてイレネーから現代のばん馬に繋がる血脈を見ることができるわけです。
また,この家畜改良データバンクの元データ,どうやらかつての血統管理団体(十勝農協連等)に残っていた資料を基に作られていると推察されるのですが。実はイレネーのお膝元,十勝種畜牧場(現家畜改良センター十勝牧場)の古い馬については全然入っていないんですよね。家畜改良センターには昔からの血統簿がきちんと保管されているという話を(また聞きですが)伺ったことがあります。これを丸ごと家畜改良データバンクに反映させてしまえば,農用馬改良百年の歴史を一望できるものすごく充実したデータベースになると思うのですが,どうでしょうか?
今年は十勝種馬牧場が設置されて百年にあたる節目の年。百年の歴史を後世に残す&広く一般に公開するという意味もありますし。また,現在ばん馬の雑種は「日本輓系種」という一つの品種として血統管理されています。この日本輓系種という品種を後世に伝えていくために,その祖先たちの血統を明らかにすることは大切な事だと思います。
いかがでしょうか,日本馬事協会さん&家畜改良センターさん?
(お手伝いできることがあれば喜んで請け負います)
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Comments
最近の新しい試みの数々にはほぼ付いていけない私ですが
取りあえず今年も参戦しますのでよろしくお願いします。
土曜夕方競馬場着にて2泊の予定です。
Posted by: 長谷美穂 | March 26, 2010 07:05 PM