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March 27, 2018

50回目のばんえい記念を終えて、日本輓系種の未来を考える


さて。50回目のばんえい記念が行われたということで、ちょっとばん馬(日本輓系種)のこれまでとこれからについて考えを巡らせておりました。
日本における重輓馬の改良は明治時代から本格的に行われてきました。戦前は軍用馬としての需要がありましたし、第二次大戦後は主に輸送用や農林業等の労働力として、日本の産業を支える原動力となってきたわけですし、その用途に合わせた品種改良が進められてきました。モータリゼーションの発達によって次第に労働力としての役割は失われ、現在は専らばんえい競馬の競走馬として生産されております。そして、より活躍できる馬が産まれるようにと、生産者は研鑽と努力を重ねているわけです。
50年前を見返すと。農用馬の生産においてはサラブレッドのように「競走馬として顕著な成績を残した馬が種牡馬となる」ことは稀で、種牡馬は種牡馬となるべく育てられ(輸入され)た馬が種牡馬となっておりました。それが昭和末期には競走馬から種牡馬になる馬の数が増加、現在では競走馬としてデビューする馬のほとんどの父親は競走経歴を持つ馬となっています。サラブレッドが「より速くて強い馬」を生産するために選別と交配を繰り返しているのと同様、ばん馬は「より力持ちで強い馬」を生産するために選別と交配を繰り返しているわけです。
サラブレッドは世界中で生産されており競馬も世界中で行われておりますが。対してばん馬の場合は世界で唯一、帯広競馬場でのみレースが行われ、そこで強い馬の選別が行われていることになります。
もちろん、重種馬は日本以外の世界各地にもいろんな品種がおりますが、彼らの主な仕事は馬車を曳くことだったりショーホースだったりで、必ずしも「(ソリや丸太のような)重量物を曳くこと」に適しているとは限りません。ばん馬(日本輓系種)は「重量物を曳くことに特化して品種改良された『世界で一番力持ち』の馬である」といえるでしょうし、その品種改良のために優秀な馬を選別するための世界唯一の場所が帯広競馬場であるわけです。『世界で一番力持ち』日本輓系種の品種を改良し、より強い馬を次世代に残すためには、帯広競馬場でのレースは必須となります。


 


長年に渡る生産者の努力の結果、日本のばん馬は進化を続けてきました。30年前(S63)の農林水産大臣賞典の出走馬の馬体重を見ますと、一番重い馬はタカラフジの1059Kg。出走馬(7頭)の平均体重は1031Kgでした。先日の第50回ばんえい記念のメンバーでいえば最軽量でもコウシュハウンカイの1082Kg、出走馬(8頭)の平均体重は1115Kgですから、かなり大型化しているのが見て取れます。
先日のレースではコウシュハウンカイが第2障害を一腰でクリアしました。第2障害で1トンを一腰で上げたのはナリタボブサップ(H22)が史上初だと言われており、コウシュハウンカイが史上2頭目のはずです。ただしかし、これからの品種改良によりどんどん強い馬がばんえい記念に登場してきて、1トンを一腰で上げる馬がどんどん増えていくことでしょうし、個人的にはそうなってもらいたい。
確かにばんえい重量1000Kgは大変な重荷ではありますが、その荷物をどんどん容易く運べる馬が出てきて欲しい。ばん馬を生産する生産者さんたちの努力と研鑽によって「より力持ちで強い馬」がどんどん産まれ、次世代、次世代と血を受け継がれることによって更に強い馬が現れる。非常にワクワクする未来であります。


 


また、現在では日本輓系種の活躍場所は帯広競馬場がほぼ全てという状況ではありますが。これだって未来永劫変わらないというわけではないでしょう。
今、ばんえいの元競走馬を林業(馬搬)で再活用しようという動きがあちこちで起こっています。馬は重機の入れない急斜面でも作業できますし、林道を整備する必要が少ない(環境への負荷が少ない)ので。例えば自然公園の風倒木処理とかでも馬が活躍できるのかなあと思います。もちろん林業以外でも、馬車のような観光等の用途やセラピーホース(ばん馬なら大柄な大人でも乗れますし親子での2人乗りも可能)でも活躍できるでしょう。トラクター等の普及でその活動の場を追われた田畑でだって、原油価格の高騰や有機農法の広がり(馬はたい肥も作ってくれます)といった要因で、次第に復権することだってあり得ない話ではありません。
当然草ばん馬だって立派な活躍の場。今は北海道と東北の一部で行われているだけですが、農用馬は九州にもたくさんいます。全国ではん馬大会が盛んになれば、そのうち帯広競馬場以外の場所でも公営競技が行われることだって……。


 


そして、馬の使役についていえば。一人の「馬好き」としては、日本のみならず世界中で重種馬が働く場所や機会がどんどん増えていくとうれしい。かつて貴重な労働のパートナーだった馬たち。モータリゼーションの発展で一旦終えたその役割が、またいつか復活したりしないだろうか? 世界のどこかで「より力持ちの馬」が求められるようになった時、日本のばん馬の血がそこに役立つことはないだろうか?
かつて日本は日本の馬を「より力持ち」にするために、イレネーを筆頭に多くの種牡馬や繁殖牝馬を輸入して品種の改良を図ってきました。今では世界一力持ちの馬となった日本輓系種が、世界各地の馬たちを「より力持ち」にするために、世界中にその血を広げていく。そんな未来があってもいいんじゃないか?


 


まあ、後半は夢物語のような妄想ではありますが(苦笑)
第100回ばんえい記念が行われる50年後。ばんえい競馬や日本輓系種という存在がどうなっているんだろうか? ばんえい競馬と日本輓系種に心底惚れ込んで長年やってきた私としては、少しでも明るい未来が広がっていることを期待したい。
そして、ただ期待するだけじゃなくて、私自分としても何か出来ることがあるとしたら積極的に関わっていきたい。微力ではあるだろうけど全力を尽くしたい。そんな思いを新たにしたところでございます。

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