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March 13, 2019

ばん馬の品種と体型、競走能力の関係について(覚え書き)

「ばんえい競馬(ばん馬)の血統が分からない」という声を聞くことがよくあります。
まあ、実際その通りだと思います。私自身もばん馬の血統は20年追っかけてますけど、正直未だに分からないことだらけです(涙)
ただ、そうは言いながらも。これまでにあれこれ見聞きしてきて、なんとなく明らかになってきたこともありますので。個人的な覚え書きも兼ねて、文章にまとめてみました。まずは第1弾として、ばん馬の「品種」と「体型」について。


ばん馬のほとんどはヨーロッパ原産の3品種(ペルシュロン・ブルトン・ベルジアン)を祖先を持つ混血馬(日本輓系種)というのはこのブログを読んでいる方にとってはご存知のこととは思います。そして、この3品種の身体的な特徴を大まかに表すと以下の通りになりますでしょうか。

ペルシュロン:胴長
ブルトン:胴短・尻肉豊か
ベルジアン:腰高・脚長

そして、3品種には競走能力でも以下のような特徴があるともいわれています。

ペルシュロン:スタミナ・晩成
ブルトン:瞬発力・早熟
ベルジアン:スピード・早熟

これを踏まえた上で、1編の論文を読んでみることにします。

山口諭(ほか)「ばんえい競馬における第2障害の登坂運動の画像解析と競走成績に影響を及ぼす要因について」北海道畜産学会報 Vol.44 pp47-51 2002

http://id.nii.ac.jp/1588/00000203/


競走馬が第2障害を登坂する様子を録画・解析し、馬体水平線と胴引きとの角度(胴引き角度)や年齢との相互作用について分析したもの。結果としては

・2歳馬においては胴引き角度の大きい(腰の高い)馬の方が良成績
・3歳以上の馬においては胴引き角度の小さい(腰の低い)馬の方が良成績

という傾向が示されたとのこと。
前述「3品種の特徴」と並べてみると、何となく一致しているような気がしませんか?

ペルシュロン
→他の品種よりも成長が遅く胴長の体型。古馬になって荷物が増えてからが本番。キンタローを筆頭に、ばんえい記念(農林水産大臣賞典)を制した馬にはペルシュロンの血を強く受け継いだ馬が多い
ブルトン
→成長が早く2歳戦から強い。胴が短いという特徴でいえば高重量戦よりは軽い荷物向きだが、ブルトン種の血量が濃いタカラフジが10歳時に農林水産大臣賞典を含めて重賞を3勝しているように個体差がある
ベルジアン
→成長が早く大型。長い脚は脚さばきがよくスピード豊か。ただし純血ベルジアン種のマルゼンバージは10歳時に農林水産大臣賞典を勝っており、こちらも個体差がある


もちろん、現在競馬場で走っているばん馬はかなり雑種化が進んでおりますので。この3品種の特徴を以て競走馬の競走能力を図ろうとするのは無理筋な気もするのですが。
ただ、個人の経験レベルでは、血統表を見ていて「この馬はペルシュロンが多いから古馬になって荷物積んでからが勝負かなあ」とかいうのが意外と当たったりもします。
サラブレッドでも「○○系は芝の中長距離に向く」とかいうのがあるわけですが。ばん馬の場合はそれが「品種」というカタチで明確になっている。まずはそれぐらいに考えていただければよろしいのではないでしょうか?

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