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August 16, 2021

【血統解説】クマモトヨカバイ

8月1日に熊本県産まれのばん馬、クマモトヨカバイ号がデビュー。8月16日に出走した2戦目で初勝利を挙げました。九州産馬がばんえい競馬に出走するのは、(遡って調べられた)昭和53年以降では初めて。多分、ばんえい競馬史上初と言ってよいかと思います。そのクマモトヨカバイ号、どんな血統なのでしょうか? ちょっと詳しく見てみましょう。

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クマモトヨカバイ、純血ペルシュロン種です。九州の農用馬はブルトン種が多いという印象があったのですが、近年はばんえい競馬で活躍した馬が種雄馬として熊本に行くケースも結構ありますし、実際に生産された馬の血統を見てみると、日本輓系種(雑種)や純血ペルシュロン種を親に持つ馬が多くなっています。(リンク先)家畜改良データバンク(日本馬事協会)令和2年度に熊本県で血統登録された馬の一覧

父はシンザン竜、釧路市阿寒生まれ。競走馬としてデビューせず、熊本県で種畜検査を受けて種雄馬となっています。二代父はトウカイシンザン(167戦18勝)。帯広市の名門三井牧場の生産馬。同い年同じ牧場生まれのアンローズ(145戦33勝,重賞10勝)との間に産まれたキタノキセキ(337戦30勝)が代表産駒。牝系を見てみると、近しいところでは競走馬として活躍した馬はいませんが、二代母イナノキャップのいとこにはラッキーホマレ(エンジュオウカンエンジュダイヤの母)が。ダービー馬姉妹が一族にいるということで、ポテンシャルは秘めているのではないかと考えております。

母は新梅姫。北海道小清水町で産まれ、競走馬デビューすることなく繁殖入りしています。当初は北海道で初仔を産んでおりますが、その後に熊本に移動、クマモトヨカバイも熊本で産んでいます。母父はシンカザン(189戦19勝)。近親では競走馬として活躍した馬は見当たりません。

ところで。純血ペルシュロン馬の生産牧場としては、家畜改良センター十勝牧場がよく知られておりますが。民間の個人生産者さんにも、純血ペルシュロンの生産をなさっている方が少なからずおります。クマモトヨカバイの血統表にも、トウカイシンザンとその父ジーム(80戦6勝,重賞1勝)、ランタロー(不出走)、シンカザン。民間で生産され、種牡馬となった純血ペルシュロン馬の名前が多く見られます。
北海道の個人生産者の手で生産されたシンザン竜と新梅姫が熊本に渡って繁殖生活を送り、その産駒であるクマモトヨカバイが北海道に渡ってばんえい競馬で活躍している。非常にロマンのある話ではないかと思います。

もちろん「物語」という以外でも、このような流れは好ましいと個人的に感じています。近年、農用馬(ばん馬)の生産頭数や生産者戸数の減少傾向、特定種雄馬への依存度上昇等の影響で、農用馬の血の偏りが懸念されているところです。血の偏りを防ぐためには、生産頭数の増加は当然ですが、より多くの地域で生産されること、繁殖馬の流動性が高まることも重要だと考えます。クマモトヨカバイが活躍することによって、より多くの熊本県産馬が競走馬を目指すようになる。更には、九州のより広い地域で農用馬生産が行われ、ばんえい競馬を目指すようになれば、ばんえい競馬の将来はもっと面白くなるんじゃないか。九州でばんえい競馬の認知度がもっと上がれば、九州でもばん馬大会(草ばん馬)が開かれるかもしれない。
後半は妄想含みですがw クマモトヨカバイが今後更に活躍し、将来的には繁殖馬として民間ペルシュロン主体の血統を繋いでもらえるとうれしいなあ、と思っています。

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