ばん馬の成長曲線を考える(第1回)
インフィニティー号が死亡したというニュースがありました(https://banei-keiba.or.jp/tp_detail.php?id=6461)。
引退後は種牡馬となり、今年3世代目の産駒がデビュー。重賞勝ち馬こそ出てはいませんが産駒の評判はすごくよかったし、稀代の名繁殖牝馬クインフェアーの血脈をもっと多くの馬に伝えてほしかったです。本当に早逝が惜しまれます。
インフィニティー。改めて成績を見直してみると、デビュー戦(4月26日)での馬体重は804Kgだったんですね。重賞初出走は7歳のばんえい十勝オッズパーク杯。同年度の北斗賞で重賞初制覇、同年度末にはばんえい記念初挑戦で勝利を飾りました。インフィニティーの馬体重の推移をまとめてみましたのが下の表とグラフ。
いやいや、すごいです。8歳ぐらいまで順調に増え続けています。ウマの成長ですが、サラブレッドの場合はだいたい4歳の夏~秋ごろまで成長するらしいです(https://company.jra.jp/equinst/magazine/pdf/71-2019-5.pdf)。ばん馬の場合、同じあるいはもうちょっと遅いかなあという印象はありますが。インフィニティーのように8歳まで上昇傾向が続くのはかなり珍しいんじゃないかと思います。
ところで。インフィニティーの成長曲線。産駒にも受け継がれてるものなんでしょうか? 最終的な馬格や体型は当然遺伝要素はあるんでしょうけど。成長曲線も遺伝するんでしょうか? ていうか、先に述べた一般的なばん馬の成長曲線も「同じあるいはちょっと遅い」というのは単なる印象論。恥ずかしながら、キチンとした数字って見たことないんですよね。
自分、ばん馬のこと、まだまだ知らないことだらけだなあ。
というわけで、この「馬の成長曲線」についてはこのブログであれこれ検証してみることにします。
--(20210907追記)-----------------------------------------
ばん馬(農用馬)の成長曲線。この論文の存在をすっかり忘れてました。「恥ずかしながら、キチンとした数字って見たことないんですよね」じゃないよ。勉強不足ですよ、自分。
増田豊, 久保喜広, 山下大輔, 柏村文郎, 鈴木三義 2014
農用馬の体重ならびに体尺測定値に関する異なる成長段階における遺伝的パラメータの推定
日本畜産学会報 85(1) 1-12
https://doi.org/10.2508/chikusan.85.1
この論文によれば、
・体重や体尺の遺伝率は中程度以上と高い
・体重の成熟速度には遺伝的な個体差が存在することを示唆
とあります。競走馬として活躍した父親・母親の馬体重推移から、産駒の成長曲線を予想することはある程度できそうです。あれこれ足し算と割り算をしてみましょうか。
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