April 20, 2023

STOP AND GO

令和5年度のばんえい競馬がいよいよ開幕いたします。

かつては勝馬投票券の発売が不調で廃止寸前だったばんえい競馬でしたが、平成25年度から発売額は上昇に転じ、昨年度の売上額は過去最高の約554億円とまでなりました。諸々の要因が重なっての過去最高、なのですが。いやほんとすごいなあ。
ただ。その「諸々の要因」も刻々と変化を続けておりまして。令和5年度はさすがに前年度を上回るのは難しいのではないか、というのがもっぱらの見解のようですし、私も多分そうなんだろうなあ、思ったりもしております。

ふと思い返してみますと。平成25年度から令和4年度まで、10年にわたって勝馬投票券の発売額は右肩上がりだったわけですから。最近ばんえい競馬を観始めたファンは「売上額が前年比を下回る事象を初めて経験する」ことになるのかもしれないなあ、ということに思い至りました。そうなると、いろいろと不安とかを感じる事があるのかもしれないなあ、と。
そしてまた、今の世の中はSNS全盛時代。SNSは人の「感情」を伝播する力が非常に強いツールですので。SNSを眺めているうちに「ばんえい競馬はこのまま衰退してしまう」みたいな感覚に陥っちゃうことがあるのかもしれないなあ、と。

でもですね。これまでもばんえい競馬は「良い時もあれば悪い時もある」というのを繰り返しながらここまでやってきたわけですし、バブル華やかなりし平成初期を凌駕する実績を「私たち」が「昨年度」に残したわけです。今年度、多少売り上げは下がるかもしれないけど。そこはドーンと構えて「来年度に再びプラ転させればいいべや」ぐらいに思っておけばいいんじゃないですかね。

だってほら、私たちがみているばんえい競馬は「馬が何度も止まり、時にはバイキをかけながら前に進んでいく」競技じゃないですか。STOP AND GO ですよ。

……なーんて言いますけどね。私自身、かなりな小心者ですので。やっぱり不安に思ったりもするわけですよ。ただ、不安になるからこそ、できるだけポジティブな言動を心がけたいなあ、とは思っています。「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」は哲学者アランの言葉ですが。SNS全盛の今の世の中だからこそ、この言葉の意味を改めて考えたいなあ、と思っている今日このごろです。

またそして「ポジティブ/ネガティブ以前に、そもそもWebサイトやブログでのアウトプットが少なすぎだろ」という反省もしているところです。何となくSNS(特にTwitter)の手軽さに寄っていた部分もありますが。これもまた、SNS全盛の今の世の中だからこそ、「残る」情報をしっかりと作っていきたいなあ、と思っているところです。

そんなわけで。20世紀の香りが残る殺風景な拙サイト、拙ブログやその他諸々、今年度もお暇な時に眺めていただければ幸甚でございます。

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March 27, 2018

50回目のばんえい記念を終えて、日本輓系種の未来を考える


さて。50回目のばんえい記念が行われたということで、ちょっとばん馬(日本輓系種)のこれまでとこれからについて考えを巡らせておりました。
日本における重輓馬の改良は明治時代から本格的に行われてきました。戦前は軍用馬としての需要がありましたし、第二次大戦後は主に輸送用や農林業等の労働力として、日本の産業を支える原動力となってきたわけですし、その用途に合わせた品種改良が進められてきました。モータリゼーションの発達によって次第に労働力としての役割は失われ、現在は専らばんえい競馬の競走馬として生産されております。そして、より活躍できる馬が産まれるようにと、生産者は研鑽と努力を重ねているわけです。
50年前を見返すと。農用馬の生産においてはサラブレッドのように「競走馬として顕著な成績を残した馬が種牡馬となる」ことは稀で、種牡馬は種牡馬となるべく育てられ(輸入され)た馬が種牡馬となっておりました。それが昭和末期には競走馬から種牡馬になる馬の数が増加、現在では競走馬としてデビューする馬のほとんどの父親は競走経歴を持つ馬となっています。サラブレッドが「より速くて強い馬」を生産するために選別と交配を繰り返しているのと同様、ばん馬は「より力持ちで強い馬」を生産するために選別と交配を繰り返しているわけです。
サラブレッドは世界中で生産されており競馬も世界中で行われておりますが。対してばん馬の場合は世界で唯一、帯広競馬場でのみレースが行われ、そこで強い馬の選別が行われていることになります。
もちろん、重種馬は日本以外の世界各地にもいろんな品種がおりますが、彼らの主な仕事は馬車を曳くことだったりショーホースだったりで、必ずしも「(ソリや丸太のような)重量物を曳くこと」に適しているとは限りません。ばん馬(日本輓系種)は「重量物を曳くことに特化して品種改良された『世界で一番力持ち』の馬である」といえるでしょうし、その品種改良のために優秀な馬を選別するための世界唯一の場所が帯広競馬場であるわけです。『世界で一番力持ち』日本輓系種の品種を改良し、より強い馬を次世代に残すためには、帯広競馬場でのレースは必須となります。


 


長年に渡る生産者の努力の結果、日本のばん馬は進化を続けてきました。30年前(S63)の農林水産大臣賞典の出走馬の馬体重を見ますと、一番重い馬はタカラフジの1059Kg。出走馬(7頭)の平均体重は1031Kgでした。先日の第50回ばんえい記念のメンバーでいえば最軽量でもコウシュハウンカイの1082Kg、出走馬(8頭)の平均体重は1115Kgですから、かなり大型化しているのが見て取れます。
先日のレースではコウシュハウンカイが第2障害を一腰でクリアしました。第2障害で1トンを一腰で上げたのはナリタボブサップ(H22)が史上初だと言われており、コウシュハウンカイが史上2頭目のはずです。ただしかし、これからの品種改良によりどんどん強い馬がばんえい記念に登場してきて、1トンを一腰で上げる馬がどんどん増えていくことでしょうし、個人的にはそうなってもらいたい。
確かにばんえい重量1000Kgは大変な重荷ではありますが、その荷物をどんどん容易く運べる馬が出てきて欲しい。ばん馬を生産する生産者さんたちの努力と研鑽によって「より力持ちで強い馬」がどんどん産まれ、次世代、次世代と血を受け継がれることによって更に強い馬が現れる。非常にワクワクする未来であります。


 


また、現在では日本輓系種の活躍場所は帯広競馬場がほぼ全てという状況ではありますが。これだって未来永劫変わらないというわけではないでしょう。
今、ばんえいの元競走馬を林業(馬搬)で再活用しようという動きがあちこちで起こっています。馬は重機の入れない急斜面でも作業できますし、林道を整備する必要が少ない(環境への負荷が少ない)ので。例えば自然公園の風倒木処理とかでも馬が活躍できるのかなあと思います。もちろん林業以外でも、馬車のような観光等の用途やセラピーホース(ばん馬なら大柄な大人でも乗れますし親子での2人乗りも可能)でも活躍できるでしょう。トラクター等の普及でその活動の場を追われた田畑でだって、原油価格の高騰や有機農法の広がり(馬はたい肥も作ってくれます)といった要因で、次第に復権することだってあり得ない話ではありません。
当然草ばん馬だって立派な活躍の場。今は北海道と東北の一部で行われているだけですが、農用馬は九州にもたくさんいます。全国ではん馬大会が盛んになれば、そのうち帯広競馬場以外の場所でも公営競技が行われることだって……。


 


そして、馬の使役についていえば。一人の「馬好き」としては、日本のみならず世界中で重種馬が働く場所や機会がどんどん増えていくとうれしい。かつて貴重な労働のパートナーだった馬たち。モータリゼーションの発展で一旦終えたその役割が、またいつか復活したりしないだろうか? 世界のどこかで「より力持ちの馬」が求められるようになった時、日本のばん馬の血がそこに役立つことはないだろうか?
かつて日本は日本の馬を「より力持ち」にするために、イレネーを筆頭に多くの種牡馬や繁殖牝馬を輸入して品種の改良を図ってきました。今では世界一力持ちの馬となった日本輓系種が、世界各地の馬たちを「より力持ち」にするために、世界中にその血を広げていく。そんな未来があってもいいんじゃないか?


 


まあ、後半は夢物語のような妄想ではありますが(苦笑)
第100回ばんえい記念が行われる50年後。ばんえい競馬や日本輓系種という存在がどうなっているんだろうか? ばんえい競馬と日本輓系種に心底惚れ込んで長年やってきた私としては、少しでも明るい未来が広がっていることを期待したい。
そして、ただ期待するだけじゃなくて、私自分としても何か出来ることがあるとしたら積極的に関わっていきたい。微力ではあるだろうけど全力を尽くしたい。そんな思いを新たにしたところでございます。

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January 10, 2011

今年もよろしくお願いします(2011年年頭にあたって)

今さらではありますが、今年もよろしくお願いいたします。
私事ですが。今回、久々(8か月ぶり)に帯広競馬場に行くことができました(このエントリは帰りのJR車内で書いてます)。競馬場にいる最中、たくさんの方々にお声をかけていただいたり、ご挨拶をさせていただいたりしました。私自身、ばんえい競馬を通じてたくさんの方と知り合う機会に恵まれましたが、その縁があるのも一重にばんえい競馬があるからこそ。相変わらず厳しい経営が続いているばんえい競馬ですが、世界で唯一の競馬が今後ますます盛り上がり、ますます発展をしていってもらいたいという気持ちを新たにしました
そして。ただ願うだけでなくて。「全員参加型」がスローガンのばんえい競馬ですから、一ファンである私にもばんえい競馬発展のためにお手伝いできることはいろいろあるんだろうなと思うので、自分も「全員参加」の一員として関わっていきたいなー、という気持ちを再確認した次第です。

ということで、昨年は4月以降ほとんど更新らしい更新を怠っていたBlogではありますが、今年は少しでも皆様に興味を持ってもらえるようなエントリを上げていければいいなあ、と考えておりますので、たまにでも覗きに来ていただければ幸甚の至りです。

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April 23, 2010

平成22年度ばんえい競馬開幕

ということで,いよいよ今年のばんえい競馬が始まります。

各種報道では「相変わらず厳しい経営が続く」が枕詞のようになってはおりますが,実は地全協で発表している開催成績を見ると,今年の1月以降は馬券の発売額は昨年の同じ時期を上回っているんですよね。これはオッズパークLOTO導入効果も多分にあるのではないかと思いますが,非常にいい流れですね。この流れを引き継いで,新年度も売り上げ増を目指していければと思いますし,個人的にもいろいろとお手伝いしていければなーと考えております。
……が,この4月から本業の方がかなり忙しくなってしまいまして,Webサイトやこのblogに手をかける時間がかなり少なくなってしまいそうです。
その代わり,というわけでもないのですが。最近はTwitterでいろいろ合間にばんえい競馬に関するよしなしごとその他をつぶやいております。もしよろしければフォローなどしていただければ幸いです。
http://twitter.com/rikimidori

では,今年度もよろしくおねがいします。

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January 04, 2010

「全員参加型」という言葉(2010年年頭に際し)

正月三箇日も過ぎてしまい今さら感もありますが,今年もよろしくお願いいたします。

先日,コメント覧でインターネット上での予想情報の不足感について書き込みをいただきましたが,その中に興味深い言葉がありました。

> 全員参加型とはいえやはりそれぞれの役割分担は必要で、
> 厩舎は良い馬を作り、主催者は良いイベントを作り、ファンはたくさん馬券を買う、
> 友だちに勧めるという枠組みのもと

全くその通りだと思います。「全員参加型」っても役割分担はある,ていうか無いと困るのですよ。
主催者である帯広市,運営会社であるOPBM,施設所有者である十勝農協連,馬を所有する馬主さんたち,その馬を預かり育てレースに臨む厩舎スタッフ……。その他,さまざまな人たちが協力し合ってばんえい競馬という興行が運営されております。どうやら今年はそのばんえい競馬にとって「正念場となる」一年のようですが。それぞれの立場の人たちがそれぞれ自分たちの役割をこれまで通りにしっかりと果たしていき,全体としてこれまで以上の「一体感」を築いていければ,必ずやこの難局を乗り越えられると信じております。

さて。日ごろから新生ばんえい競馬は「全員参加型」だと言っておるわけですが,じゃあ我々ファンは何をすればいいんでしょうか? 個人的には「あまり深く考えずに,今まで通りファンとして振る舞えばいい」んだと思います。
ばんえい競馬のあれこれを読むためにインターネットを放浪していると

「単なる一ファンなので大したことは出来ませんが」

という言葉を時々目にしますが……。実は,個人的にはその言葉にはちょっと疑問を持たざるを得ません。何か難しく考えすぎなんじゃないかなあ,と。
わたしとしては「全員参加型」という言葉をこう解釈しております。

・自分の出来ることだけやればいい。出来もしないことを背伸びしてやろうとする必要はない
・その代わり,出来ることは遺漏なくすべき
・あとは「自分の出来ること」がちょっとでも増えればモアベターだよね

どうも「参加する」「支援する」という言葉を使うと,えらく高尚なものだと思われているんじゃないかという気がしますが,あんまり難しく考える必要はないと思うんです。馬券を買うとかふるさと納税制度を使って帯広市に寄付をするとか,確かに立派な貢献ではありますが……。もっともっと小さなことでも良いと思うんですよね。
例えば。競馬観戦に帯広を訪れた際に「本州から競馬を観るために来たんですよー」と,お土産屋の店員さんやタクシーの運転手さんと世間話をする。これだって「競馬があることによって十勝が潤っている」ことを住民の方々に認知をさせる効果がある,立派な宣伝活動だと思うんですよね。例えば。おみやげにばんえい競馬の写真がプリントされているものを選ぶ。ばんえい競馬の写真をパッケージに描いたところ売り上げがUPした,なんて数字が出たら素晴らしいことだと思います。
なかなか競馬場に行けないという方でも。blogなんかでばんえい競馬の事や好きな馬・騎手について語ってもよし。自分でblogを立ち上げなくても,お気に入りのblogやSNSのコミュニティなどにコメントを寄せる。インターネット上のばんえい競馬に関するコミュニティに「賑わい」が生まれると,お互いのばんえい競馬に対する興味が相乗効果で増してくるし,そして,これまでそれほどばんえい競馬に興味を持たなかった人に「なんだか,ばんえい競馬は楽しそうだな」と思ってもらえれば,それがばんえい競馬の新規ファン獲得に繋がるわけで。
極端な話,ばんえいだけじゃなくて地元の地方競馬やJRAを応援してくれてもいい。今は「競馬」の元気を回復させることが喫緊の課題であります。そして,それが将来のばんえい競馬ファン候補を増やすことにも繋がるわけですから(わたし自身JRA→ホッカイドウ競馬→ばんえい競馬の順で覚えていったクチですので)。
何だかキレイゴトを言っているような気もしないでもないですが,あんまり深く考える必要はないと思います。いきなり高望みしても,うまくいかなかったら元も子もないですし,何よりも「出来る範囲で気軽に楽しく」から始めた方が,長続きするんじゃないかなーと。そして,「あ,こんなことなら簡単じゃん」と思えることがあったら,それをしっかりやってもらえればいいんじゃないかと思います。また,そのうちに「お,こんなこともできそうかな?」とか「こんなこともやってみたい」と思い付くことがきっとありますから,その時になったら守備範囲を少しずつ広げていけばいいんじゃないかと。

暗いと不平を言うよりもすすんであかりをつけましょう

ということで,自分自身的にも,今年もあれやこれやでばんえい競馬の手助けをしていければいいなー。いろいろとやりたいこともあるので,一つでもカタチにしていければいいなーと思います。正直言って辛気臭いエントリの多いblog&更新が滞りがちなWebサイト(本館)ですが,今年もご愛顧いただければ幸いです。

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June 25, 2009

ちょっといい話

ばんえい十勝スタッフブログから引用。


今回のイベントを通して、とてもうれしかったこと。
大井競馬場で「ばんえい応援しているよ!」と暖かい声をたくさんかけていただきました。
「絶対なくさないで!」とか「万馬券当たったよ~!」とか「帯広に行きたいと思っていたの!」とか
「帯広に行く飛行機代を考えると、こっちで馬券につぎ込むよ!」とか。
全国のばんえいファンに支えられているんだ、と改めて実感しました。
本当にありがとうございます。
皆様のおかげでばんえい十勝は頑張れます。
http://www.banei-keiba.or.jp/staff_blog/2009/06/post-68.html

ばんえい競馬のファンは全国にいて,そのファンに支えられているからこそ今もばんえい競馬があるわけで。それを改めて認識させていただきました。また,ばんえい競馬の存在が帯広・十勝という地域の認知度とブランドイメージの向上に貢献しているのではないかと思いますし,それを地元の方にもっと知ってもらえるといいんだろうなと思います。
ということで,多くの人とりわけ帯広市の方に読んでもらいたいエントリだと感じました。


さて。スタッフブログ,いつも楽しく拝見させていただいております。
競馬場の内側というのは,わたしのような一般のファンは通常立ち入ることができませんので,そこで働くスタッフの仕事というのは大変に興味深い。今のところ広報担当naoさん専用ブログ状態になっておりますが,他部署担当の方のエントリがあってもいいんじゃないかと。

ていうか,これって立派な広報活動でありファンサービスであると思うんですよね。中で働くスタッフの日常もそうですし,ナリタボブサップのひみつ。のエントリなんてのもすごく面白い。ばんえい競馬のファンを増やす策として,特定の馬や騎手のファンになってもらうというのは極めて有効だと考えますが,このボブの逸話のような普段見ることができない馬や騎手の日常なんて,非常に面白いし愛着も湧きますし。
スタッフの皆さまは多忙の中大変だとは思いますが,今後ともブログをバンバン更新して,ばんえい競馬ファンや馬のファンや騎手のファンや広報naoさんファン等々,どんどん増やしていただけるとありがたいです。
コメントもトラバも閉じているので直接伝えられませんが,とりあえず。

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