ばん馬の牝系のルーツをたどってみる
ばん馬(日本輓系種)の成立は「日本の在来馬に外国から輸入した大型馬を交配していった」というのは周知の事実かと思います。
ただ、輸入馬というと、イレネーを筆頭にした種牡馬の輸入というイメージが強くなりがちですが。外国から輸入された牝馬が強いばん馬の生産に大きな役割を果たしております。
例えば記憶に新しいところでは、ばんえい記念2勝のニシキダイジン(母が輸入ベルジアン)。一億円馬でいえば、マルゼンバージ(母が輸入ベルジアン)、フクイチ(祖母が輸入ペルシュロン)。
また、純血種の繁殖牝馬の競走馬生産現場への導入という意味では、家畜改良センター十勝牧場(旧十勝種畜牧場)で産まれた牝馬が民間の牧場に移動して繁殖牝馬となる例も多くあります。最近の例ではタカナミ(母が純血ブルトン)やアルジャンノオー(母が純血ペルシュロン)。一億円馬でいえばメムロボブサップ(5代母が純血ペルシュロン)とスーパーペガサス(3代母が純血ペルシュロン)が、十勝種畜牧場の牝馬をルーツに持っています。
じゃあ、現在のばん馬の牝馬のルーツはどんな塩梅なんだろう? ちょっと気になったので調べてみました。
・対象は令和7年度第1回能力検査の合格馬63頭
・馬関連団体情報システムで牝系を遡り、生年・品種が登録されている最も古い牝馬の品種で集計
なお、手法は根性マイニング(筆者が目で見て頑張る)を利用しました。
結果はこちら。
・ペルシュロン(十勝種畜牧場産) 3頭
・ペルシュロン(北海道畜産試験場産) 2頭
・ペルシュロン・ペル系(その他内国産) 12頭
・ブルトン(十勝種畜牧場産) 4頭
・ベルジアン 5頭
・半血種(内国産) 36頭
・サラブレッド 1頭
個人的な感想としては、「意外と輸入馬が少ない」でしょうか。特に、昭和51年に輸入されたフランス産ペルシュロンの子孫(代表格は一億円馬フクイチ)がいなかったのは残念。
牝系については拙サイトでも少しずつまとめていますが。もうちょっと掘り下げて調べていきたいなあ、と思ったりしています。